2015年1月30日

第44回Critical Care Congress参加報告

2015.1.17-21の間、Phoenix, Arizona, USAのPhoenix Convention Centerにて行われた米国集中治療医学会(SCCM)が主催する第44回Critical Care Congressに蒲原医師が参加・発表してきました。
学会は日曜日のplenary sessionから盛り上がって行き、あのSurvival Sepsis Campiagn Guideline(SSCG)のfirst authorのR. Phillip Dellinger教授による10 Things We Can (and Must ) Do Btterは、先生のこれまで30数年間のCritical Careに身を置くIntensivistとしての心がまえを示していただき非常にインパクトがありました。
以下にその10の項目のみ示しておきます。

1. Compassion in Healthcare

2. Communication with Patients

3. Severe Sepsis Care

4. Post intensive Care Syndrome

5. Pre ICU Care

6. Aligning Research with Healthcare Changes

7. Physical Examination

8. ICU Round

9. Patinet Safety

10, Electronical Medical Documentation

炎症感染領域において、多くの業績をあげているワシントン大学のRS Hochikiss教授を司会とした多臓器不全と代謝回復に関してのsessionが行われていました。
臓器機能障害にはミトコンドリア機能障害やautophagyが注目されていたようである。会場ブースでは、まだ日本にないportable CT(写真)が展示されていました。今後是非、日本でも使用許可されることを期待します。
それにより、多くの患者さんが移動によるリスクを軽減できるでしょう。(ちなみに熊大ではICUからCTまで6階下へエレベーターで降りる必要があります。)回転式の体位変換ベッド(写真)が展示してありましたが、欧米人は体格が大きく体位変換は容易ではないことが製作のキッカケであったとのことで、日本人には必要ないよと言われました。
でもprone positionが簡単にできるのは魅力でした。

portable CT

回転式体位変換ベッド

昨年はOral発表でしたが、この時期NFLのカンファレンス決勝が同時期(日曜日)にあるため、聴衆は少なく質問も微々たるものでしたが、今年のポスター発表(Prof Walk Rounds)では教授2人と複数の聴衆に取り囲まれ、熱いDiscussionが可能でした。
発表はIFN-gamma inducible protein 10(IP-10: CXCL10)が、Innate ImmunityからAcquired Immunityの橋渡し役目をしているかもしれないという内容です。
IP-10はsepsisの重症度と相関しているため、診断としての応用の可能性があること、またmurine modelではその受容体のCXCR3を抑制すると生存が延長することから、治療の標的としての可能性も示唆されています。

Dr.Kamohara




Phoenixは1月にも関わらず、昼は最高20℃超え。夜は10℃前後で比較的過ごしやすい季候でした。
2週間後にNFLのSuper Bowlが行われることが決まっており、町全体お祭りを楽しみにして待つ雰囲気が感じ取られ、学会会場近くにはNBA Phoenix SunsのHome CourtのUS Airway Center、 MLBのDiammondbacksのChase Fieldもあり、Phoenixは年中Sportsが観戦できる Big Sports Cityと呼べるでしょう。


Phoenix近郊には世界遺産のGrand CanyonやSedonaもあり、学会主催のツアーも紹介されていました。
残念にも発表等の関係で参加はできませんでしたが、次の機会には是非行って人生観を変えたいと思っております。町にいたる所にサボテンが自然に生育しており、大きいもので5m近いものも見つけました。まさに木でした(写真)。
また、日の出と夕日の時には空がオレンジ色に輝いており、宿泊した郊外のホテルから撮影した写真がたまたま様になっていたのに驚きました(写真)。


                                                                           

2015年1月5日

新年ご挨拶

平成27年の年始を迎えるに当たり、ごあいさつ申し上げます。
昨年は4月から12月までの9か月間で、278名の集中治療部入室患者がありました。月別にみましても、4月を除きすべての月で、25年の同月を上回る入室患者を受け入れました。内訳は、男性が63%と女性より多く、年齢別には、60歳代70歳代の方が最多でした。死亡率は6.5%にとどまり、多くの患者が無事に退室されました。院内の専門医と集中医療部医師、看護師、ME技師はじめみなさまのご協力のおかげと感謝しております。本年も変わらず、気軽に利用でき、質の高い診療を提供できるICUを目指してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
熊本大学医学部附属病院 集中治療部長 木下順弘 同看護師長 吉里孝子