この度、第48回日本集中治療医学会学術集会で、集中治療部(以下、熊大ICU)の先生方のご指導のもと筆頭演者として発表する機会をいただきました、初期臨床研修医の芥川晃也と申します。
発表内容は、院内で発表した症例を学会向けに構成し直したものでした。振り返れば、院内発表のスライド→予演→実際の発表、学会発表の抄録→スライド構成のそれぞれにICUの先生方からフィードバックをいただき、相談にものっていただきました。それだけでなく、関連文献を紹介いただいたり、スライド作成の講習会を案内いただいたり、(今回はWeb開催であったため)動画作成時の注意点を教えていただいたり……かなり手厚くご指導いただいたおかげ様の症例報告でした。
学会発表の場でも、熊大ICUでの研修が生きました。他科ローテートにおいても、ICUで学んだ知識が役立っていると強く感じます。
ICU研修の魅力として、多臓器横断的な知識がつくことや、人工呼吸器管理、術後症例・院内急変症例の管理、中心静脈、動脈ライン確保などの手技はもちろんですが、以下3点を特に紹介させてください。
1) 上級医、他科ドクター、他職種との距離が近い
2) ❝伝わる❞プレゼンテーションやカルテ記載の訓練ができる
3) 初期臨床研修医でも活躍の場がある
以下に詳説します。
1) 上級医、他科ドクター、他職種との距離が近い
初期臨床研修医の立場で、上級医、他科ドクター、コメディカル(看護師・薬剤師・理学療法士・臨床工学技士)の方々と同フロアでフランクに関われる場所はICUを措いて他にはないのではないでしょうか。臨床経験に裏打ちされた知識を直接訊ねることができる恵まれた環境といえます。実際に、ICUローテート中に質問させていただき解決した疑問は数知れません。
2) ❝伝わる❞プレゼンテーションやカルテ記載の訓練ができる
熊大ICUでは毎日、ICUドクターが、他科ドクターや他職種が集まるなかで受け持ち患者様のプレゼンテーションを行います。広い視点を意識しつつ、過不足なく迅速に情報を伝える訓練になります。また、ICUでは引継ぎが重要であるため、カルテ記載に関しても同様のことがいえます。いずれも経験豊富な先生方の手本がみられることも魅力です。
3) 初期臨床研修医でも活躍の場がある
重症患者様は1日のうちでも病態が変化するため、それに応じて診療を前に進めたり急変リスクを回避するため、先回りしたタイムリーな介入が要求されます。ともすれば上級医の指示通りに動くことが多くなりがちな初期研修ですが、上級医の先生方のサポートのもとで実際に自分が動いて、患者アセスメント、治療方針に主体的に関わることができます。
少しでも興味がある方は、是非ICUで研修されてみてください。充実した研修と、きっちりした休日が待っています。
最後に、ICUに関わる全てのスタッフの皆様、研修中は至らない点も多くご迷惑をお掛けしたと思いますが、熱心なご指導、手厚いサポートをしていただき、本当にありがとうございました。